村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【⑦引っ越し日】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより 本作は、マンハッタンのアパートメント・ハウスの管理人であるチェスター氏の一日を描いています。彼と彼の妻は20年前にマサチューセッツ州から引っ越してきた労働者ですが、管理人として与えられた地位と権限は大きく、居住者たちの暮らしを見守…

【シェエラザード】(『女のいない男たち』より)

Amazonより 本作は、謎の事情を抱えて潜伏する男と「連絡係」として彼の世話をする女の話です。物語の主人公は、女性信者に支えられながら2か月間の逃亡生活を送った地下鉄サリン事件の実行犯である林泰男を彷彿とさせます。 『前世はやつめうなぎ』 羽原(…

【⑥治癒】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより 人生における中間点やピークを指して「人生の正午」と呼ぶとき、それは、過去の経験を振り返り、未来の方向性を見極めるための転換期を意味します。本作は、そんな「人生の正午」の人物が遭遇した不思議な話です。 『私にかまうな!』 それはある…

【⑤バベルの塔のクランシー】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより 《愛は負けても、親切は勝つ》という言葉を残したのは、アメリカの作家カート・ヴォネガットです。愛や正義は時に失敗や挫折に直面することがあるのに対して、親切や思いやりは軽やかに情勢を打開するという考え方です。本作は、ある善意の人物が…