村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【謝肉祭(Carnaval)】『一人称単数』より

【要旨】 容姿の醜さを強みにする奇特な女性は、驚くべき二面性を抱えていた。 「シューマンは、人々のそのような複数の顔を同時に目にすることができた------仮面と素顔の両方を」と彼女は語る。 いま、青年期の心にしまっていたほろ苦い思い出が激しく僕の…

【「ヤクルト・スワローズ詩集」】『一人称単数』より

【要旨】 少年時代の最も輝かしく、最も祝福された出来事が、生涯を通じて僕を野球場へと導いた。 試合開始直前の球場には、まっさらな筋書きの予感と共に、歓声やため息や怒号が怠りなく用意されている。 プロのステージで戦うことの孤独と厳しさに、僕の胸…

【ウィズ・ザ・ビートルズWith the Beatles】『一人称単数』より

【要旨】 高校の薄暗い廊下、美しい少女、揺れるスカートの裾、そして「ウィズ・ザ・ビートルズ」のレコード・ジャケットが作り出す時代の幻想。 心と身体に働きかけた『歯車』の一節。底知れない孤独の闇。 サヨコの死を通じて異なる世界の二人の幻想が一瞬…

【チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ】『一人称単数』より

本作は冒頭から『チャーリー・パーカー・ブレイズ・ボサノヴァ』という実在しないレコード評が8ページに渡って続きます。そのマニアックな内容に圧倒されて、村上主義者のこのボクも最初は少し引き気味でした。ともかく正直に感じたことを書いてみます。 【…

【クリーム】『一人称単数』より

【要旨】 引き続き作品の要旨を”超訳”でご紹介します。 謎の老人の語る神学的弁証論が、若き日のぼくに問いかける。 「中心がいくつもあってやな、いや、ときとして無数にあってやな、しかも外周を持たない円のことや」 人を愛し憐れみ理想を抱くときに、ぼ…

【石のまくらに】『一人称単数』より

初めてのブログの投稿となります。皆さん宜しくお願いします_(._.)_ 【要旨】 まずはじめに作品の要旨を”超訳”でご紹介します。 村上作品は多様な読み方が出来るので、ボクの”超訳”はあくまでも数ある読み方のひとつと考えてください。 一度きりの夜を共にし…