村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

一人称単数

【一人称単数】「一人称単数」より

今回はピリッと引き締まった短い作品ではありますが、この短編集の表題作でもあるので、総括的な意味合いを読み取ってみたいと思います。 【要旨】 隣の席の女性が唐突に理不尽な言いがかりを浴びせて来た。 「恥を知りなさい」 匿名で発言された誹謗中傷が…

【品川猿の告白】「一人称単数」より

短編集『一人称単数』から1作ずつ取り上げてきた書評も7作目まできました。ブログの書き方はいまだ試行錯誤中ですが、なんとか続けていけそうです(;^_^A 【要旨】 小さな温泉町のみすぼらしい旅館の一室で向き合う品川猿と小説家。 猿社会にも人間社会にも属…

【謝肉祭(Carnaval)】『一人称単数』より

【要旨】 容姿の醜さを強みにする奇特な女性は、驚くべき二面性を抱えていた。 「シューマンは、人々のそのような複数の顔を同時に目にすることができた------仮面と素顔の両方を」と彼女は語る。 いま、青年期の心にしまっていたほろ苦い思い出が激しく僕の…

【「ヤクルト・スワローズ詩集」】『一人称単数』より

【要旨】 少年時代の最も輝かしく、最も祝福された出来事が、生涯を通じて僕を野球場へと導いた。 試合開始直前の球場には、まっさらな筋書きの予感と共に、歓声やため息や怒号が怠りなく用意されている。 プロのステージで戦うことの孤独と厳しさに、僕の胸…

【ウィズ・ザ・ビートルズWith the Beatles】『一人称単数』より

【要旨】 高校の薄暗い廊下、美しい少女、揺れるスカートの裾、そして「ウィズ・ザ・ビートルズ」のレコード・ジャケットが作り出す時代の幻想。 心と身体に働きかけた『歯車』の一節。底知れない孤独の闇。 サヨコの死を通じて異なる世界の二人の幻想が一瞬…

【チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ】『一人称単数』より

本作は冒頭から『チャーリー・パーカー・ブレイズ・ボサノヴァ』という実在しないレコード評が8ページに渡って続きます。そのマニアックな内容に圧倒されて、村上主義者のこのボクも最初は少し引き気味でした。ともかく正直に感じたことを書いてみます。 【…

【クリーム】『一人称単数』より

【要旨】 引き続き作品の要旨を”超訳”でご紹介します。 謎の老人の語る神学的弁証論が、若き日のぼくに問いかける。 「中心がいくつもあってやな、いや、ときとして無数にあってやな、しかも外周を持たない円のことや」 人を愛し憐れみ理想を抱くときに、ぼ…

【石のまくらに】『一人称単数』より

初めてのブログの投稿となります。皆さん宜しくお願いします_(._.)_ 【要旨】 まずはじめに作品の要旨を”超訳”でご紹介します。 村上作品は多様な読み方が出来るので、ボクの”超訳”はあくまでも数ある読み方のひとつと考えてください。 一度きりの夜を共にし…