村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【①ワールズ・エンド(世界の果て)】(『ワールズ・エンド(世界の果て)』より)

今回から9回にわたってポール・セローの短編をご紹介します。長期連載となるので隔回ごとに別の村上作品を挟みながら、気長に続けていきたいと思います。また、進捗が分かるようタイトルに通し番号を付けておきます。 本書は「異郷のトンデモ話」を収めた短…

【熊を放つ(第3章・動物たちを放つ)】

本稿の「第3章・動物たちを放つ」で本書は大団円を迎えます。私の積年の課題もこれでようやく解決です。なぜなら、本書のモチーフは初期の村上作品に何度も引用されており、ここを通らずして『自称 村上主義者』を名乗れない要所だからです!それでは、60年…

【熊を放つ(第2章・ノートブック)】

『熊を放つ』第2章では、ジギーの動物園偵察記と自伝が交互に語られます。この二つの文章が『動物園破り』の根拠となるのですが、初読の時は読み通すだけで精一杯。なぜなら、「旧ユーゴスラビア史」という世界史のなかでもマイナーな史実がふんだんに登場…

【熊を放つ(第1章・ジギー)】

アメリカ文学を代表するジョン・アーヴィングのデビュー作をご紹介します。発表当初から評価が高く、作品の舞台であるドイツ語圏に翻訳されるやたちまちベストセラーに。本邦では村上春樹を中心に6人の翻訳チームが組まれて刊行に至っています。 訳者あとが…