村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【②テレサ】(『恋しくて』より)

引き続き海外作家の短篇ラブ・ストーリーをご紹介します。 作者のデヴィッド・クレーンズはイェール大学で演劇を学び、小説に加えて戯曲や映像脚本などを手掛けています。ユタ大学の名誉教授であり、ユタ大学の全ての教育賞の受賞歴を持つ優れた教育者でもあ…

【①愛し合う二人に代わって】(『恋しくて』より)

『恋しくて』に収録された10篇のラブ・ストーリーをご紹介します。恋愛に関して初級レベルの私が扱うので、至らない部分が散見されると思います。作品の価値を損なわないよう心して記述していくつもりです。 今回の作者マイリー・メロイはモンタナ州ヘレナで…

【街とその不確かな壁(第三部)】

ここまでネタバレを防ぐために、物語の山場に踏み込むことは極力避けてきましたが、逆に村上作品を味わうための基本情報を紹介できているのではないかと密かに自負しています。【第三部】も引き続き作品の周辺部をご案内します。 《第三部の途中(69章)までの…

【街とその不確かな壁(第二部)】

結末を読まないという制約のなかでブログ記事を書き続けている。そのような状況は何かを意味するかもしれないし、何も意味しないかもしれない。しかしたぶん何かは意味しているはずだ…さて、気分が乗ってきたところで引き続き【第二部】のご紹介♪ 《第二部の…

【街とその不確かな壁(第一部)】

6年ぶりの村上春樹の新刊をご紹介します。読者の楽しみを奪わないために、私自身が最後まで読み切らないことで結末をばらしてしまう過ちを防ぎたいと考えています。言い換えれば〖読み終えていない本について堂々と語る〗というのが今回のブログの試みです(…

【極北】

本書は英国作家マーセル・セローによる《近未来サバイバル小説》です。旧ソビエトの取材に基づく緻密な描写、随所に敷かれた伏線、リアルで重厚なディストピア観が特徴です。翻訳は村上春樹。 《あらすじ》 科学技術は地上に壊滅的な被害をもたらした。人々…