村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【ウーリー】(『犬の人生』より)

本作には自意識過剰な青年の破天荒なエピソードが記されています。そういえばかつての私の仲間内でも、さまざまな武勇伝が飛び交ったものですが、改めて振り返ればどれもこれもコケ脅し('ω') それはさておき、今回も私たちの想像力の斜め上を行くマーク・ス…

【ベイビー夫妻】(『犬の人生』より)

本作にはボブとベイブのベイビー夫妻のちょっと変わった一日が描かれています。初めて読んだときには、いくつものクエスチョンマークが私の頭に浮かびました。ベイビー夫妻とは何者か? 彼らはどこからやって来て、どこへ行こうとしているのか? 詩的なメタ…

【将軍】(『犬の人生』より)

本作に登場する『将軍』とはダグラス・マッカーサーのことを指していると思われます。私が彼についてまず思い浮かべるのは、コーンパイプをくわえて厚木基地に降り立つ姿。GHQ最高司令官として占領下の日本に君臨し、民主化政策を推し進めた人物です。朝鮮戦…

【二つの物語】(『犬の人生』より)

本作はタイトルに掲げられた通りⅠ、Ⅱと題された二つの物語で構成されています。Ⅰは牧歌的な雰囲気のロマンチックな物語。Ⅱは都会的な雰囲気のシュールな物語。二つの物語のあいだに直接的なつながりはありませんが、どちらもアッと驚く結末が待っています。 …

【犬の人生】(『犬の人生』より)

マーク・ストランドは1964年のデビュー以降、詩人として華々しい活躍を続けて来ましたが、1980年代の10年間は詩作を中断しています。《私詩》のあり方に疑問を持ち、表現形式を模索していたとも言われています。 今回はいよいよ表題作である『犬の人生』をご…

【水の底で】(『犬の人生』より)

私の妻は時々寝ているときに見た夢の話を聞かせてくれます。それは当人にとってはリアルで印象深いものらしいのですが。脈絡がなくオチもない話なので、私はいつも閉口しています(-_-;) さて、今回ご紹介する作品は詩人が語る夢の中の話です。案の定、脈絡も…

【大統領の辞任】(『犬の人生』より)

今回ご紹介するマーク・ストランドの作品は、かつてドリフのコントでお馴染みだった《もしもシリーズ》を彷彿とさせます。題して「もしも大統領が気象マニアだったら」。いかりや長介が最後に「だめだこりゃ」と言い出しそうな突拍子もない作品です。 《あら…

【小さな赤ん坊】(『犬の人生』より)

今回ご紹介する作品には小さな赤ん坊とその母親が登場します。しかしそこには毎度のことながら一筋縄ではいかない事情がうかがえます。私なりに作家の伝えようとするイメージを探ってみたいと思います。 《あらすじ》 母親はベビー・シッターに小さな赤ん坊…