村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【映画:ドライブ・マイ・カー】

『映画:ドライブ・マイ・カー』をご紹介します。この作品は皆さんご承知のとおりアカデミー賞の国際長編映画賞の受賞作です。原作はもともとオバマ元大統領の一押し作品ということもあって、アメリカ国内では一定の評価を得ていたようです。映像化に際して…

【蜂蜜パイ】(『神の子どもたちはみな踊る』より)

今回は短編集に収められた最後の作品のご紹介です。ここに来て文体のリアリズムがぐんと増していることから、実は登場人物の淳平が先の五篇を創作したという意表を突いた筋書きもあり得ます。というわけで、本書の最後の考察をご一緒に。 《あらすじ》 兵庫…

【かえるくん、東京を救う】(『神の子どもたちはみな踊る』より)

『阪神・淡路大震災』は、東京に暮らす人々に首都圏直下型地震の到来を予見させました。ところがその直後に人々の足下を揺るがしたのは『地下鉄サリン事件』という別の惨劇でした。この二つの間に繋がりはありません。しかし、作者はこの二つの出来事にもっ…

【タイランド】(『神の子どもたちはみな踊る』より)

本作にはリゾート地としてのタイランドの魅力が伝わってきます。道路の真ん中を象が歩くというエキゾチックな街並みを想像しながらお付き合いください(^^)/ 《あらすじ》 甲状腺の専門研究員のさつきは、タイの学会を終えたあとも滞在を続けた。彼女は更年期…

【神の子どもたちはみな踊る】(『神の子どもたちはみな踊る』より)

今回は表題作のご紹介です。『神の子どもたちはみな踊る』は、ジャズのスタンダード・ナンバーから来ています。「しかめっ面なんかしてないで、歌って踊れば悩みなんて振り払えるよ!」と歌った黒人霊歌が原曲です。陽気なリズムをイメージしながら本作を読み…

【アイロンのある風景】(『神の子どもたちはみな踊る』より)

今回も奇妙なタイトルのついた作品のご紹介です。『アイロンのある風景』とは鹿島灘の小さな町に住む三宅さんが、阪神・淡路大震災の直後に描いた絵のタイトルです。「流木が燃える冬の海岸」「全てを一瞬で壊滅させた地震」「部屋の隅に置かれたアイロン」 …