村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【1Q84 BOOK1】

ベストセラーとなった『1Q84』を3回に分けてご紹介します。 本書は《青豆の物語》と《天吾の物語》の各章が交互に進行し、互いに呼応しながら一つの物語を形作る村上作品ではおなじみの形式です。そこに恋愛・ミステリー・SF・歴史・宗教・文学などの要素…

【⑩恋するザムザ】(『恋しくて』より)

本作は村上春樹自身がこの短編集のために書き下ろした作品です。カフカの『変身』の奇想天外な後日譚が描かれています。 《あらすじ》 主人公が目を覚ますとグレゴール・ザムザに変身していた。彼には過去も未来も現在のこともほとんど理解できず、服の着方…

【⑨モントリオールの恋人】(『恋しくて』より)

作者のリチャード・フォードはミシシッピ州生まれ。ニューヨーク、シカゴ、メキシコなどに移り住み、その土地に根ざした作品を発表。1996年にピューリッツァー賞とPEN/フォークナー賞を同時受賞した。現代アメリカ文学の重鎮的存在といわれます。 《あらすじ…

【⑧恋と水素】(『恋しくて』より)

作者のジム・シェパードは1956年コネティカット州生まれ。ウィリアム大学創作家教授でもあります。2007年度全米図書賞の最終候補となり、優れた短篇集に与えられるストーリー賞を受賞しています。 《あらすじ》 マイネルトとグニュッスは飛行船ヒンデンブル…

【⑦ジャック・ランダ・ホテル】(『恋しくて』より)

アリス・マンローはカナダを代表する作家として不動の地位にある人物です。2005年には、「タイム」誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれ、2009年にブッカー国際賞を、2013年にノーベル文学賞を受賞しました。 彼女は女性の生き方を模索する作品を…