村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【⑥自転車と筋肉と煙草】(『頼むから静かにしてくれⅡ』より)

Amazonより 初期のカーヴァーの作品にはもっぱらシンプルな表現が用いられ、余分な説明が省略されているところに特徴があります。それは読者に物語の隠された部分を推測させ、想像力をかきたてる効果を狙ったものです。今回もその魅力の一端を感じていただけ…

【⑤こういうのはどう?】(『頼むから静かにしてくれⅡ』より)

Amazonより レイモンド・カーヴァーの短編集『頼むから静かにしてくれ』に収録された作品を引き続きご紹介します。 カーヴァーが創作活動をしていた頃は、短篇小説は長篇小説に比べて軽く見られる面があったと言います。彼自身、生涯を通じて長篇小説を書け…

【④鴨】(『頼むから静かにしてくれⅡ』より)

Amazonより 本作は初期に発表されたものではありますが、多くの暗示や謎に満ちた難解な作品です。一度読んだだけで何かを掴むことができたなら、あなたは相当の強者か、もしくは私と同じ思い込みの激しい妄想家ですね(*_*) 物語には製材所に勤める男とその妻…

【③嘘つき】(『頼むから静かにしてくれⅡ』より)

Amazonより 本作はカーヴァーの短編の中ではめずらしく書簡体で描かれた作品です。知事選に当選した息子について母親の不安と心配が切々と綴られています。母子家庭の下で育ったその息子は、15歳のある夏の日を境に、別人格に変わってしまったと彼女は言いま…

【②ジェリーとモリーとサム】(『頼むから静かにしてくれⅡ』より)

Amazon.co.jpより 今回は『ジェリーとモリーとサム』という短篇をご紹介します。本作のタイトルについて、訳者の村上春樹は巻末の解題で次のように述べています。 この作品の中にはたしかにジェリーもモリーもサムも出てはくるけど(端役のバーテンダー、客の…