村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【ダンス・ダンス・ダンス(下)】

【オドルンダヨ、オンガクノツヅクカギリ】 唐突ですが、曹洞宗の坐禅は《只管打坐(シカンタザ)》とも呼ばれ、ただひたすらに坐るとされます。何かの目的の手段にしてみたり、見返りを求めたりしないで坐り続けるというのは、なかなか難しいことのようです。…

【ダンス・ダンス・ダンス(上)】

本作は青春三部作の一つである『羊をめぐる冒険』の続編になっています。前作は70年代の戦後民主主義のイデオロギー幻想を葬って一旦幕を閉じました。あれから4年、ベストを尽くして来たものの、何処にも行けず、誰も真剣に愛せず、何を求めているのか分か…

【ノルウェイの森(下)】

発売当初の本書の帯には『100パーセントの恋愛小説です』というキャッチコピーが付いていました。なるほどこの作品はこれまでとはまったく手法の違う《恋愛リアリズム小説》に間違いないのですが、刺激が強すぎて思わず目を背けてしまいたくなるような性描写…

【ノルウェイの森(上)】

本書はリアリズムの文体で書かれています。これまで寓話的に語ってきたテーマを初めて私小説(的作風)に取り入れた作品です。また、本書は驚異的な売り上げによって社会現象を巻き起こしました。それまで一部の読者にサブカル的な読まれ方をしてきた村上作品…

【世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)】

物語は後半に入ると意識と無意識の世界は徐々にシンクロしはじめ、『世界の終り』にまつわる謎も解き明かされていきます。 後半に進むほど痛みや死やSEXが頻繁に登場して、読者の中には不快に感じる方がいるかもしれません。ボクのブログは村上作品に対する…