村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【④トーチソング】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより 本作は、どうしようもないダメ男ばかりに惚れて破局を繰り返す女性と、彼女を陰ながら見守る男がたどった不思議な話です。タイトルの『トーチソング』は主に1930年代に流行した片思いや失恋の気持ちを歌った流行歌。物語を包み込む純真無垢な旋律…

【独立器官】(『女のいない男たち』より)

Amazonより 本作は、都会の片隅で情事を楽しんできた男が、食べ物も喉を通らなくなるほどの痛切な恋に落ち、その結果自らを死に追いやることになってしまった話です。 『渡会医師の恋』 美容整形外科医の渡会(トカイ)と「僕」は趣味のスカッシュを通じて知…

【③サットン・プレイス物語】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより ジョン・チーヴァーの作品はカフカ的手法が取り入れられているところに特徴があります。それは非現実的な要素を通じて、読者が現実の深層に触れたり幻想的な雰囲気のなかで思いを巡らせたりする効果を生んでいます。今回はサットン・プレイスに暮…

【②ああ、夢破れし街よ】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより 1950年代の雑誌「ザ・ニューヨーカー」は、サリンジャー、カポーティー、オコナー、そしてチーヴァーといった面々によってアメリカ短編小説の黄金時代を築きました。そんな時代の勢いに乗って異彩を放ってきたジョン・チーヴァーの作品を引き続き…

【①巨大なラジオ】(『巨大なラジオ/泳ぐ人』より)

Amazonより アメリカ短篇小説の名手と言われたジョン・チーヴァーの作品をご紹介します。チーヴァーはニューヨーク近郊に暮らす中産階級の人々の人生の悲哀を描きました。細部を緻密に描写するそのタッチ。リアルな日常がいつしか幻想に代わる構成力。彼の作…