村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

【③サーカスと戦争】(『ワールズ・エンド(世界の果て)』より)

ポール・セローの3作目は異国の家庭にホームステイする少女の話です。古い家父長制の伝統が残る《世界の果て》で、15歳の少女がひとり反旗を翻す姿が描かれます。 《あらすじ》 ディーリアは、ロンドンからフランスの田舎にホームステイでやってきた。家の主…

【グレート・ギャツビー】

本書は文学史に残る傑作と評価されるスコット・フィッツジェラルドの代表作であり、村上春樹が満を持して翻訳に取り組んだ意欲作でもあります。 《あらすじ》 隣の敷地の豪邸では週末ごとに盛大なパーティーが開かれていた。パーティーの参加者たちは主催者で…

【②文壇遊泳術】(『ワールズ・エンド(世界の果て)』より)

今回ポール・セローの短編集からご紹介するのは、文壇の著名人たちを招いたパーティーを開いて人脈を広げていくという社交術に長けた男の物語です。 《あらすじ》 マイケルは酒屋に勤める平凡な青年。出版業界に顔の利くロナルドと文壇のパーティーに参加す…

【キャッチャー・イン・ザ・ライ】

J・D・サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』をご紹介します。大人たちの欺瞞に対して鬱屈した想いをぶつける内容が共感を呼び、不朽の青春小説として世界中で読み継がれているのはご存じの通り。野崎孝訳の『ライ麦畑でつかまえて』以来、40年ぶ…