村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

【今は亡き王女のための】「回転木馬のデッド・ヒート」より

本作のタイトルは、ラヴェル作曲の『亡き王女のためのパヴァーヌ』に由来します。この曲の寂しげな旋律は物語のBGMとなって、結末に訪れる喪失感をより高めています。ただ、本作の甘く切ない感じをこの名曲のようにお伝えする力量は私にはありませんので、い…

【プールサイド】「回転木馬のデッド・ヒート」より

この物語に登場するビリー・ジョエルの楽曲は、ボクのお気に入りのひとつです。今でも『コンツェルト(旧ソ連でのライブツアーアルバム)』の中にあるその曲を繰り返し聴いています。昨今では彼の離婚と再婚の話題くらいしか聞こえてきませんが、お元気なので…

【タクシーに乗った男】「回転木馬のデッド・ヒート」より

本作の舞台である60年代のグリニッジ・ヴィレッジは東海岸における文化・芸術の中心地でした。 レンガ造りの家並みや歴史を感じさせる街並みは、今でもニューヨークの1,2位を争う観光スポットだそうで、いつか訪れてみたいと思っています。 《あらすじ》 …

【レーダーホーゼン】「回転木馬のデッド・ヒート」より

「 レーダーホーゼン」とはドイツ南部のバイエルンやオーストリアのチロル地方の鹿革半ズボンで、女性のディアンドルと並び立つ代表的な民族衣装です。改めてネットで検索してみると、かつての野暮ったい印象を払拭するカッコよさ。さぞかし値段も張ることで…

【はじめに・回転木馬のデッド・ヒート】「回転木馬のデッド・ヒート」より

ブログの投稿も40回を超えました。ボクなりのスタイルも見つけて楽しく続けているところです。最近、ブログの記録から初期の投稿へのアクセスが頻繁に行われていることを知りました。そこで久しぶりに見返してみたところ、誤字脱字に意味不明な言い回しのオ…

【三つのドイツ幻想】「蛍・納屋を焼く・その他の短編」より

この連作には、独特の印象を放つキーワード《博物館》《要塞》《空中庭園》が登場します。一見するとバラバラにも思える3つの物語の繋がりを読み解いてみたいと思います。 『冬の博物館としてのポルノグラフィー』 セックスが、潮のように博物館の扉を打つ…

【めくらやなぎと眠る女】「蛍・納屋を焼く・その他の短編」より

本作には、ロング・バージョンとショート・バージョンが存在します。ショート・バージョン『めくらやなぎと、眠る女』は、神戸淡路大震災の翌年に神戸で「朗読会」に使うために後日書き直されることになります。 【あらすじ】 実家でぼんやりすごしていた僕は、…