村上春樹レヴューのブログ

自称村上主義者の私が独自の切り口で作品をご紹介します。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【⑥薄暗い運命】(『恋しくて』より)

リュドミラ・ペトルシェフスカヤは現代ロシアを代表する女性作家です。リアリズム的作品から幻想小説や童話まで精力的に執筆。2010年の世界幻想文学大賞*1をはじめとる受賞歴多数、国内外で高い評価を受けています。 今回はポストモダン等の文学の潮流につい…

【⑤L・デバードとアリエット 愛の物語】(『恋しくて』より)

作者のローレン・グロフは1978年ニューヨーク州生まれ。2015年に長篇作品『運命と復讐』で全米図書賞最終候補*1となり高い評価を得ました。いまアメリカで最も期待される女性作家のひとりです。 《あらすじ》 元水泳の金メダリストであり、詩人でもあるL・デ…

【④甘い夢を】(『恋しくて』より)

海外作品のアンソロジー『恋しくて』から、ポストモダニズム以降に登場したラブ・ストーリー作品をご紹介しています。 ペーター・シャタムはスイス在住の作家です。ジャーナリスト、ライター、放送作家を経て1998年に小説家デビュー。チェーホフやカミュ、レ…

【③二人の少年と、一人の少女】(『恋しくて』より)

作者のトバイアス・ウルフは、アラバマ州バーミングハム出身です。高校を中退後、軍隊に入隊してベトナム戦争に従軍し、その後、オックスフォード大学やスタンフォード大学で文学・創作を学びました。1985年に発表した『兵舎泥棒』がペン/フォークナー賞*1を…